片麻痺に伴う肩の問題
H18.11.25
第12章 片麻痺に伴う肩の問題
(使用教材 ステップス・トゥ・フォロー改正第2版P275?P287)
- 肩の亜脱臼
- 有痛性の肩
- 肩―手症候群
初期評価時、痛みを訴えている人の肩はいきなり動かさない。
信頼関係、安心感、成功体験の後に動かす。評価を十分行い原因により治療の仕方を考える。
片麻痺による亜脱臼の原因と治療
- 腕を垂らした時、他動的な肩関節のロッキング機構が働かず、さらに関係する筋の反射や随意的活動による支持が得られない。→肩甲骨の肢位、すなわち関節窩の向きを正し、ロッキング機構を回復させる。
- 神経系の損傷後、神経にかかる張力が強まり、鎖骨、肩甲骨が挙上する。これは下から拮抗する体幹筋が弛緩して働かないためにおこり、上腕骨頭は腕の重さでついていけない事から、関節から離れる。そして神経の緊張が高まると、その支配する領域に痛みの症状をもたらすこともある。→異常な張力を減少させ、体幹筋の緊張を整える。
亜脱臼の肩の治療
- 肩甲骨の位置を正す
筋の過緊張を抑制した後、肩を前方挙上するよう指導する。その際、体幹回旋がおこらない様に注意する。 - 異常な張力を軽減させる
頸部のストレッチを行う。 - 肩関節を安定させる肩周囲筋の活動や緊張を刺激する
伸張反射の誘発・圧縮を加える・近位から遠位にこする等の方法がある。 - 痛みを出さずに他動的全関節可動域を維持する
上腕骨頭が全可動域を通じて関節窩の中に正しく入っているように注意して行う。
(内旋筋が過緊張し短縮して外旋がうまくできないと大結節が肩峰にぶつかる)
副運動を引き出せるかどうかも重要。動かして痛みが生じるならば動かさない方がよい。 - 日常生活で肩を損傷から守る
早期の段階で適切に扱うことが、その後の肩のアライメント不良を防ぐのに決定的。
例)テーブルの上にのせる→アライメントも良いし、上肢を無視しない