臨床施術風景
機能訓練マッサージ施術風景
78歳、男性、要介護5脳梗塞後遺症による四肢麻痺、構音障害
腹筋運動1
ベッド上での動きに欠かせないのが腹筋の力です。四肢麻痺ありますが、頭、肩までを上がります。この他に、両膝を左右に倒す、ローテーション。両膝を立てた状態で、臀部を上げるブリッジ動作を重要視してます。なぜなら、この3動作を自由に行えるとベッド上での動きが自立できるからです。
腹筋運動2
腹筋運動を行うにあたり、腹直筋に手を置きます。手を置くことにより筋肉の動きを意識できます。また、筋収縮をおこしやすくもなります。四肢である手足を動かすためには、体幹を固定する必要があります。腹直筋のみならず、腹斜筋等、体幹を固定する筋群は重要です。
股関節伸展運動
股関節の伸展を制限している筋のストレッチと伸展を行う筋力向上を狙います。股関節の屈筋群である、腸腰筋、大腿直筋のストレッチ。大殿筋の筋力向上を狙います。麻痺のために膝屈曲しやすい事から、膝を伸展位に保ちながらも股関節伸展動作を行います。
肘関節の可動域訓練
痙性のため、肘関節屈筋群が屈曲しやすくなっています。この状態が長く続くと、関節自体が拘縮していきます。肘関節の屈曲に関しては、随意性があるため上腕二頭筋に対して、徒手抵抗ストレッチを行いながら伸展方向へ伸ばします。
手関節の可動域訓練
手指、手関節の進展を行う時、いきなり行うと痛みがでたり、行いにくい場合があります。手指を伸ばす場合であれば、手関節、肘関節を屈曲位に保ったまま手指関節を伸展していきます。その後、肘関節を屈曲位に保ったまま手関節を伸展していきます。また、伸ばし辛い時は最初に十分屈曲方向に動かしてから、伸展方向へ動かしていきます。
肩関節の可動域訓練
肩関節を外転する時重要なのは、肩甲上腕リズムです。外転時、肩関節を構成している、上腕骨の上腕骨頭と肩甲骨の関節窩が無理のない位置関係を構成している必要があります。このため、肩関節の外転を行う時、無理なく肩甲骨の上方回旋が行われていくように、肩甲骨の動きを重視して可動域訓練を行います。
重心移動訓練
重心を前方にかける事が出来ないと、自立で立ち上がる事が出来ません。体幹前傾、股関節屈曲を上手に行うことが出来ないと立ち上がりに支障をきたします。このため前方に椅子を置いて、無理なく前方への重心移動練習をします。この患者様の場合、右肘の伸展制限があるため、椅子の位置が近いですが、通常はもう少し前に置きます。この後、立位訓練につなげていきます。
トランス訓練
柵と車椅子の肘掛を利用して移乗を行います。ポイントは車椅子の位置です。L字バーをベッド方向に向けて固定してから、ベッド脇一杯に車椅子を付けて行います。
痙性がある場合、力を入れると、筋緊張が高まり、膝関節が屈曲していきます。このまま行うと前方に転倒する場合があります。足の位置をよく見ながら行う事が、安全な移乗動作に繋がります。